区画整理中の土地と相続を
やさしく解説コラム
(第6回・最終回)
区画整理で実際にあった
教科書では分からない土地のリアル
今回は、
「区画整理中の土地と相続をやさしく解説」
― 実務経験から見る区画整理地のリアル ―
(全6回)
の最終回です。
これまで、区画整理中の土地について
通常の土地との違いを整理してきましたが、
少し視点を変えて――
机上の知識だけでは分からない
“私が過去に区画整理の現場で経験した出来事”を
少しお話ししてみたいと思います。
特に、
✔ 区画整理地の土地を相続した方
✔ 区画整理中の土地を相続しそうな方
にとっては、決して他人事ではない話かもしれません。
🏞 人気の区画整理地なのに
売れない土地
ある仮換地。
造成も完了し、見た目も整い、
利用可能な状態。
本来ならすぐに売れてもおかしくないのに、
なぜか売れない。
調べてみると、
従前地の地目が「ため池」。
しかし、
現在の「仮換地」は
“ため池があった場所”とは全く別の位置。
購入検討者は、
その「ため池」という表記(実は「従前地の地目表記」)に
不安を感じていたのです。
私の方で、
従前地と仮換地の関係を分かりやすく整理し、
販売資料に説明を加えたところ、
間もなく売却が成立しました。
📌 区画整理に関する理解と説明の仕方の差が、
売れる・売れないを左右する。
この出来事は、
それを改めて強く実感させてくれました。
🗑 掘ったら
ゴミが出てきた土地
売買が成立し、
買主様にてマイホームの基礎工事を開始。
すると、
土地の一部からゴミが出てきました。
売主様は
「自分が埋めたゴミではない」とのこと。
仮換地は
元の所有地とは違う場所になることが多く、
また、
その「仮換地」の場所の過去の利用状況までは
分からないこともあります。
区画整理事業者へ相談し、
ゴミの処分対応をしていただけましたが、
📌 区画整理だからといって、
良いことばかりとは限らない。
「こんなこともあるのだ」と
新たな学びとなりました。
🏗 ゴミ処分場跡地に
指定された仮換地
広くて形の良い土地。
販売も順調に進みそうだった矢先、
「この土地の辺りは昔、ゴミ処分場だった」と判明。
区画整理事業者へ確認し、
ゴミの撤去記録や写真を提示してもらい、
この土地の下にはゴミがないことを確認。
これらを購入検討者へ提示し、
無事に売却できました。
ちなみにこの土地は
「従前地」があった場所から移ってきた「仮換地」。
売主様は
そのような場所に土地が移ったとは
全くご存じありませんでした。
もし区画整理の終了後に売却しようとしていたら、
撤去記録や写真を入手できたかは分かりません。
📌 区画整理中でなければ
調べたり確認できなくなるかもしれない。
これも、私にとって大きな学びとなりました。
🧮 同じ仮換地評価でも
状況はまったく違う
相続税専門の税理士法人で
相続税関係業務に携わっていたときのこと。
同じ区画整理地内で、
造成がほぼ完了した土地と、まだ道路も形もない土地。
状況が大きく違うにもかかわらず、
どちらも同じ「仮換地・路線価方式」で評価し、
ほぼ同じような評価額との判断。
私としては違和感を覚え、
評価額のバランスを取れるようできないかと
模索しましたが、
最終的には個別評価の判断の変更は難しいと断念。
📌 もう少し良い方法があったのではなかろうか...
しかし、このようなケースもあるのだと
新たな知識としました。
📏 区画整理終了後の
“消えないルール”
区画整理が終わって数年後の
地域での土地売買。
隣地の方から
「フェンスを設置する際は境界から5cm空けてほしい」との要望
役所で確認すると、
それは区画整理“中”だけのルール。
つまり、
区画整理終了後は存在しないルール。
📌 区画整理中に自分が守ったルールは、
区画整理後も継続している
と、住民が思っていることがある。
せっかく良好な住宅地に生まれ変わった区画整理地域で
新たな問題を発生させることがないように、
きちんと整理していくことが大切だと
感じた出来事でした。
🌱 最後に
私は、区画整理はとても良い制度だと思っています。
- 変形地が整形地になるケースがほとんど
- 道路に広く接するようになり、利用しやすくなるケースがほとんど
素晴らしい仕組みです。
しかしその一方で、一時的ではありますが、
✔ 従前地と仮換地の関係の複雑さ
✔ 個別評価という特殊な相続税評価
✔ 一時的な建築などのルール
専門家の中でも区画整理に詳しい人でなければ、
整理が難しい分野でもあります。
区画整理が終わるまでの期間は、
不動産に詳しくない方にとっては少し複雑で、
少し不安な時間かもしれません。
だからこそ、
区画整理中の土地をお持ちの方は、
相続の前でも後でも、
まずは今の土地の状況を整理しておくことが大切です。
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このコラム(全6回)では、
区画整理中の土地の考え方と実務のポイントを
整理してきました。
区画整理中の土地は、
通常の土地とは少し違う考え方が出てきます。
そのため、
「この土地はどう考えればいいのだろう...」
と思うこともあるかもしれません。
そんなときは、まずは
いまの土地の状況を整理すること
から始めてみてください。
・仮換地の場所
・使用収益の開始
・清算金の予定
・利用条件
これらを整理するだけでも、
土地の将来像が見えやすくなります。
難しい判断をする必要はありません。
まずは、現状を整理するところからで大丈夫です。
「このままで大丈夫だろうか...」
そんなふうに感じたときが、
整理を始めるタイミングです。
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