土地と相続コラム

(第3回)



 小規模宅地の特例と地域差で変わる
相続税の影響

第2回では、立地適正化計画という制度によって、
「まちの優先順位」や「土地の将来」に差が出ていく可能性がある、
というお話をしました。

今回はその続きを、相続税の視点から見ていきます。

相続税の制度は、全国共通です。

でも実は──

同じ制度を使っても、
地域によって“大きなメリットがある・少ない”と分かれる、
そんな仕組みがあります。

相続予定財産の資料と小規模宅地等の特例の説明資料を見ながら、 今後の相続に備えてアパートや土地について夫婦でゆっくり話し合っている様子を描いたイラスト

🧭 相続税の考え方は「全国共通」だと
思っていませんか? 


「相続税の計算方法は、全国どこでも同じ」
多くの方が、そう思っています。
 
たしかに、法律や計算ルールは全国共通です。
 
ところが──
 
計算のもとになる土地の評価額は、地域によって大きく違います。

その結果、制度の“効き方”に差が生まれます。

その代表例が、
小規模宅地等の特例です。

🏠 小規模宅地等の特例とは?


この特例は、亡くなられた方が住んでいた土地や、
事業・賃貸に使っていた土地について、
一定の面積まで、土地の相続税評価額を大きく下げられる制度です。

ざっくり整理すると──

  • 自宅の土地(特定居住用宅地等)

      → 330㎡まで、評価額を80%減


  • 事業用(貸付事業を除く)の土地

      → 400㎡まで、80%減


  • アパートなど貸付事業用の土地

     → 200㎡まで、50%減


たとえば、評価額3,000万円の自宅の土地があれば、特例を使うことで600万円として計算されます。

とても大きな効果ですよね。

🔄 平成27年改正で、
制度はどう変わったか


平成27年(2015年)から、相続税の制度は大きく変わりました。

  • 基礎控除が下がり、相続税がかかる人が増えた
  • その一方で、小規模宅地等の特例は使いやすくなった


つまり、「広く課税する代わりに、生活や事業に必要な土地は守ろう」という考え方です。

ここまでは、とても合理的に見えます。


⚖ でも、ここで“地域差”が生まれます


問題は、ここからです。

小規模宅地の特例は、評価額を「何%減らすか」という制度です。


つまり──

元の評価額が高いほど、減る金額も大きくなる仕組みです。

たとえば、

  • 都市部で、1㎡あたり100万円の土地
  • 郊外で、1㎡あたり10万円の土地


同じ330㎡・80%減でも、減る金額は10倍違います。

制度は同じ。
 
でも、結果はまったく違う。


私はこれを、「静かな地域格差」と呼んでいます。

🏢 都市部で増えた
「相続税対策アパート」の背景 


土地や建物を賃貸している場合の評価の仕組みと
この特例を背景に、都市部では、

「相続税対策としてアパートを建てましょう」

という提案が一気に増えました。

確かに、地価の高い地域では、相続税を大きく減らせるケースがあります。


一方で、地価がそれほど高くない地域では、

  • 節税効果は小さい
  • でも借入や空室リスクは同じ
  • むしろリスクが大きいケースもある


ということも、少なくありません。

🧠 制度は「使える」。
でも大切なのは“考え方”


近年では、亡くなる直前の駆け込みアパート建築には特例が使えないなど、制度の見直しも行われています。

つまり、制度は使えるけれど、乱用はできない

という方向に進んでいます。

大切なのは、

  • 制度を知ったうえで
  • 自分たちの土地・地域に合っているか
  • 家族にとって無理のない形か


を、冷静に考えることです。

🌱 まとめ


  • 相続税の制度は全国共通でも、地域差がある
  • 特例の条件や効果を、冷静に確認することが大切
  • 仕組みだけを見て判断すると、思わぬ負担を抱えることがある


土地の価値は、「数字」だけでも、「制度」だけでも、
「税制」だけでも語れません。

では、これからの時代、
土地を持つ人はどう考えればいいのでしょうか。

次回(第4回)は、
「地域と共に生きる土地活用」
という視点から、整理していきます。




※本コラムは、あくまで制度の仕組みを説明するための一例であり、実際に特例が使えるか、どの程度の効果があるかは、相続の状況や要件によって異なります。小規模宅地等の特例は、一定の要件を満たした場合に限り適用されます。 

相続したアパート・土地活用など不動産の不安に寄り添い、
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